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コラム

ビルでできる省エネ対策とは?BEMS(ビル・エネルギー管理システム)やAI空調を活用したエネルギー削減方法

2026/03/31
省エネ

近年、電力コストの上昇や脱炭素社会への取り組みが進む中で、オフィスビルや商業施設などの建物では省エネルギー対策が重要なテーマとなっています。ビルは多くの設備を稼働させているため、エネルギー消費量が大きく、適切な対策を行うことで大幅なコスト削減と環境負荷の低減が可能です。
特に、電気やガスなどのエネルギー使用量をリアルタイムで「見える化」し、空調や照明などの設備を自動制御することで、エネルギー消費の最適化を図る技術が注目されています。
さらに近年では、AI空調による高効率な空調制御などの技術にも関心が寄せられています。
本記事では、ビルで実施できる代表的な省エネ対策と、AI空調を活用した最新のエネルギー管理方法について詳しく解説します。

ビルのエネルギー消費の特徴

ビルの省エネ対策を考えるためには、まずエネルギーがどの設備で消費されているのかを理解する必要があります。
一般的なオフィスビルでは、エネルギー消費の内訳は以下のようになっています。
・空調設備:約40~50%
・照明設備:約20~30%
・OA機器・コンセント:約20%
・エレベーターやその他設備:約10%
このように、空調設備が最も大きなエネルギーを消費している設備であることが分かります。そのため、ビルの省エネ対策では空調設備の効率化が最も重要になります。
また、設備の運転状況を適切に管理することで、無駄なエネルギー消費を防ぐことも可能です。そのためには、設備の状態をリアルタイムで監視できるシステムの導入が有効です。

ビルでできる主な省エネ対策

ビルの省エネ対策にはさまざまな方法があります。ここでは、比較的導入しやすく効果が高い代表的な施策を紹介します。

照明のLED化

最も一般的な省エネ対策の一つが照明設備のLED化です。従来の蛍光灯や水銀灯をLEDに交換することで、消費電力を大幅に削減することができます。
LED照明には以下のようなメリットがあります。
・消費電力を約40~60%削減できる
・寿命が長く交換回数が少ない
・発熱が少なく空調負荷を抑えられる
さらに、人感センサーや調光機能を組み合わせることで、使用していない場所の照明を自動的に消灯することができ、さらなる省エネ効果が期待できます。

空調設備の効率化

空調設備はビルのエネルギー消費の大部分を占めるため、空調の効率化は非常に重要です。
空調設備の省エネ対策としては、以下のような方法があります。
・高効率空調機への更新
・インバーター制御の導入
・空調設定温度の最適化
・運転時間の見直し
これらの対策を実施することで、空調エネルギーを大幅に削減することが可能になります。
近年では、さらに効率的な空調制御を実現する技術としてAI空調が注目されています。

 

AI空調とは

人工知能(AI)を活用して、室内の状況や設備の状態、外気条件の情報を学習・予測し、空調運転を最適化するシステムのことです。
従来の空調が「設定温度を守る」という後追い制御だったのに対し、AI空調は「データに基づいて判断し、変化に対応する」という予測に基づき空調を制御する先回り制御を行います。

主な仕組み

多角的なセンサー検知: 室温や湿度だけでなく、壁の温度、人の位置や動き、さらには日射量の変化などをリアルタイムで測定します。
学習と予測: 過去の運転データや利用者の使用状況を学習し、「この時間帯は利用者が多いので設定温度を下げる」、「この天気なら早めに冷やし始める」といった予測(フィードフォワード制御)を行います。
精密な制御: 冷水量や送風動力、コンプレッサーの回転数をAIが細かく調整し、無駄な動力やオン・オフを減らすことで消費電力を抑えます。

メリットと効果

省エネ・電気代削減: 従来のシステムと比較して、消費電力を15%〜30%程度削減できる可能性があります。
快適性の向上: 「冷えすぎ」「暖まりすぎ」を防ぎ、入居者の快適性を考慮した環境を維持します。

BEMS(ビル・エネルギー管理システム)によるエネルギー管理の重要性

BEMSによるエネルギー管理が重要視されている理由は、主に以下の3点に集約されます。

運用コストの直接的な削減

ビルの運営費において、電気・ガスなどのエネルギーコストは大きな割合を占めます。
BEMSで「いつ・どこで・どれだけ」使われているかのエネルギー使用量をリアルタイムで把握し、改善ポイントを明確にして空調や照明を最適化することで、無駄な支出を確実に減らすことができます。

脱炭素社会(カーボンニュートラル)への対応

現在、多くの企業がCO2排出量の削減目標を掲げています。日本のエネルギー消費の約3割は業務・家庭部門が占めており、特にビルのエネルギー効率を高めることは、企業の社会的責任(CSR/ESG投資)として不可欠な要素となっています。

「攻め」の設備管理

従来の「壊れたら直す」あるいは「一律で節電する」管理から、データに基づいた「予測と最適化」へ転換できます。
デマンドレスポンス: 電力のピークを抑え、基本料金を下げる。
快適性の維持: 節電しすぎて利用者の満足度を下げることなく、効率だけを最大化する。
BEMSを導入することで、単なる「節約」ではなく、「資産価値の高いスマートビル」としての運用が可能になります。

BEMSとAI空調を組み合わせた省エネ戦略

ビルの省エネ効果を最大化するためには、単一の設備改善だけではなく、エネルギー管理と空調制御を組み合わせることが重要です。
その代表的な方法が、BEMSとAI空調との組み合わせです。
例えば、BEMSによってビル全体のエネルギー使用状況を監視し、そのデータをもとにAI空調で空調運転を最適化することで、無駄なエネルギー消費を削減することができます。
また、長期間の運転データを蓄積することで、
・季節ごとの最適運転
・フロアごとの負荷分析
・テナント利用状況に応じた制御
など、より高度な省エネ運用が可能になります。

ビルの省エネ対策はエネルギー管理が重要

ビルで省エネを実現するためには、単に設備を更新するだけでなく、エネルギーの使用状況を把握し、最適に管理することが重要です。
特に効果が高い施策としては、以下が挙げられます。
・LED照明への更新
・高効率空調の導入
・AI空調による空調制御
・BEMSによるエネルギー管理

これらを組み合わせることで、ビル全体のエネルギー消費を大幅に削減することが可能になります。
電気料金の高騰や脱炭素社会への対応が求められる中で、ビルの省エネ対策は今後ますます重要になります。BEMSやAI空調などの最新技術を活用し、効率的なエネルギー管理を実現することが、これからのビル運営において重要なポイントとなるでしょう。


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