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個別レポート

ZEH・ZEBの次について

2022/09/06
省エネ

次世代に向けZEH, ZEBの先を考える1 

 最近のZEH、ZEBの住宅、建築物を設計してきて、さらに次の世代に何が求められるかを考えてみると、エネルギー系の人はVPP(バーチャルパワープラント)といい、都市系の人は災害時のoff-grid(*電力会社の送電網につながらない状態、または頼らずに電気を自給自足している状態)が重要だというようである。2018年に木更津市のかずさアカデミアパークにある工場敷地内にoff-grid住宅のモデルハウスを設計した。この屋根には太陽光パネル10kWと2種類のバッテリー24kWを搭載しており、一般利用時の逆潮システムとのスムーズな移行方式と、地域の非常時にどのようにVPP方式で地域への供給ができるかを実験する施設として稼働している。

木更津 off-grid住宅

木更津 off-grid住宅 断熱性能

 筆者は2011年の東日本大震災以来、復興住宅の提案から極力コストを抑えたZEH住宅を開発している。一般社団法人木創研を立ち上げ12棟目となるが、最大の特徴は、幅広の大開口部を設けながら、高い断熱性能を備えることだ。このスマートoff-grid住宅では、幅が9.3m,高さ3.5mの大開口部を設けながらUa値0.42W/㎡k(*Ua値:断熱性能を表す値)というHEAT20G2(*真冬に室内温度が13℃を下回らない温度)グレードの高い断熱性能を持つ。そのために欠かせないのが、大開口部に用いる「クワトロサッシ」で世界最高性能のU値0.51(*U値:熱の通りやすさを表す数値)を記録した製品である。さらに2層分のサロンの周りにはパッシブ型のローコストな省エネの工夫が満載で、床下にも冷暖房負荷を下げるための熱交換換気と床下空調方式を採用している。

ZEB,ZEHの設計で最も難しいのはパッシブ換気方式である。2007年に七沢希望の丘初等学校では森から新鮮空気を採取し、地中に50mのダクトを入れて地中熱で新鮮空気を暖める(または、冷す)手法を採用した。この時は約7℃の温度差で新鮮空気が上がってくることで地中熱の威力を知った。その後、長久手のたいようの杜では、斜面地であったため床下の容量が大きく、排気空気で新鮮空気を暖める方法を考えた。排気空気を導入した床下は、室内とほぼ同じ20℃近い温度となっており、その中を蛇腹ダクトで新鮮空気を導入している。それ以降は排気空気の熱を新鮮空気に回収する熱交換方式をⅠ種換気(給排気ともに機械換気)で採用しており、この方式は73%の温度交換効率を記録している。これで熱交換に関しては完成したが、潜熱の回収に関する課題が沸き起こってきた。これは温暖化により、外気温が35℃を超え、相対湿度が60%を超えるなど、エアコンを利用しても湿度が下がらないなどの日が増えた。この状況に対応するために、日中の潜熱をどうとるかという課題に現在取り組んでいるところである。

 

木更津住宅 換気

 空調については、ハウジングエアコンの吹き出し空気を床下経由で室内に送って、家全体の温度と湿度を調節する床下空調を採用している。基本的にこの床下空調システムは床面を暖めたり冷したりし、床からの放射熱で人体に、天井に熱が伝わり、その放射熱で快適になる手法である。この木更津方式をさらに展開したのが長野県茅野市に最近完成した、「金山デッキ」であり、次回にこの金山デッキについて紹介したいと思う。

 

 

 

 

 

BNA中村勉総合計画事務所代表取締役、ものつくり大学名誉教授、低炭素社会推進会議代表議長。(一社)木創研理事長。1969年東京大学卒業.槇総合計画事務所、AUR等を経て1988中村勉総合計画事務所設立.

作品受賞歴:建築学会作品選奨、欧州先進建築家リーフ賞、アルカシア建築賞、BCS賞、JIA環境建築賞など受賞多数。ZEB環境建築として、大東文化大学、みなと保健所、七沢希望の丘初等学校、森山保健センター、東松山化石体験館、堯舜インタナショナルスクールなど、自然素材の木創研ZEHとして広窓パッシブ型ゼロエネハウス、木更津オフグリッドハウスからSmart Cityへ展開

 

 

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